月別アーカイブ: 2015年6月

来月は七夕!日本と中国の羽衣伝説

来月7月7日は七夕ですね!
今日はその七夕に関わりのある昔話を取り上げます。
『天人女房』です。

『天人女房』は羽衣伝説として日本全国で伝承されておりパターンも色々ありますが、
男が水浴びをしている仙女の羽衣を隠して結婚するも天女が羽衣を見つけ天に帰ってしまう。
という流れは多くの説話に共通しています。

大きく分類すると「七夕型」、「七星始祖型」、「難題型」の3つに分かれるようです。
日本には、七夕型と難題型の複合型として中国から入ってきたと言われています。

しかし中国版と日本版では登場する動物が違うんです。
中国版では牛。日本版では犬が主人公の男を助けてくれます。

中国の話では牛が天女の水浴び場所を教えてくれて、天女と出会い、結婚します。
また天女が昇天した後は牛が自分の皮を男に与え、それを着ることで天に昇ることができます。

なぜ牛かというと中国には供儀に牛を用いる習慣が根づいていたためですね。
日本で牛犠牲のモチーフが消えてしまったのは羽衣伝説が入ってきた時点の日本人に牛は馴染みが薄かったのでしょう。
牛供儀の習慣は弥生時代から始まったとされるので天人女房譚が海を越えてきたのは縄文から、遅くとも弥生初頭のようです。

日本の話では牛に取って代わった犬ですが牛と違って物語中で死にません。

日本版天人女房だと天女を追いかける際、不思議な植物の力を借りて天に昇ります。
最後の最後で植物の蔓が天に届かず、犬の力を借りる。
というパターンで犬が登場するのですが天上の天女が手を貸してくれるパターンも存在するんですよ。
こちらの場合だと犬は登場しません。
つまりいなくてもなんとかなってしまうわけなんですよね。

中国の牛は死んで男を天に導きますし、犬が牛の代わりなら同じように死んで然るべきというか……そうなっていた方が素直だと思いませんか。

『花咲かじいさん』を振り返ってみると、犬は一度死んで植物に生まれ変わり、灰に生まれ変わり、花になり……おじいさんを幸せにします。

もしかすると元々は『花咲かじいさん』の犬のように死んで巨大なツヅラフジかドングリの木に生まれ変わって主人公を天に導いていたのかもしれません。

それがだんだん犬が死ななくても不思議な植物が育つようになり、犬の役割が薄まってしまった、とか。

それでも犬というキャラクターが排除されなかったのは伝来したのが縄文時代だったからでしょうか。
縄文時代の犬は狩猟のパートナーとして日本人と生活しており、人といっしょに埋葬されたりもしていたようです。

日本の昔話において犬という動物は「天」との繋がりが強く神の使い的な役割を担うこともしばしばあります。
『天人女房』の主人公も天に昇るので案内役として犬を残したのかもしれません。