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花咲かじいさんに出てくる犬は福をもたらす犬?(後編)

前編では花咲かじいさんの中で再生する犬について考えました。
最後に謎の犬が登場しましたが、彼(彼女?)は何なのでしょうか。

『日本の昔話 はなさかじい』以外にもこんな感じで犬が登場する作品があれば正体が分かるかもしれません。

花咲かじいさんの本

というわけで複数冊の花咲かじいさん関連の本を追加で借りてきました。
結論を言うとどの本にも謎の犬は登場せず、でっかい犬の正体は薮の中。

この犬が登場することにも何かしら意味がありそうですが……。

思うに、この犬は欲張りじいさんにも悔い改めるチャンスが示唆されているということなんじゃないでしょうか。
多くの花咲かじいさんは悪いおじいさんがこらしめられたまま終わってしまいます。

花咲かじいさんの教訓はただ単純に「欲張るとろくなことにならない」ということではないと思うんですよね。
犬に優しくしたおじいさんは富を得て、犬に意地悪をしたおじいさんは不幸を被る。
因果応報といった方が近いような気がします。

つまり、欲張りじいさんも自分の行いを反省し、後ろをついてきた犬に優しくできれば幸せになれるかもね。と、言っているのだとしたら、ただホラーとして片付けるよりは説得力があると思います。

愛犬を殺されたおじいさんの気持ちを考えるとホラーってことにしておいた方がすっきりするかもしれませんが。

 
花咲かじいさんのように川上から犬(元は木の根だったり桃だったり香箱の中から出てくる場合もある)が流れてくる昔話は他にもあり、「雁取り爺」は話の内容もよく似ています。
東北地方では犬コムカシと呼ばれているようです。

この雁取り爺。
話の流れは花咲かじいさんと大体いっしょなのですが、灰をまいて花を咲かせるのではなく、まいた灰で雁を仕留めます。

中国にも花咲かじいさんに相当する「狗耕田(くこうでん)」という話がありました。
隣人のじいさん同士の対比が描かれる花咲かじいさんと違い、こちらで描かれているのは兄弟の対比。
兄弟が分家する際に欲張りな兄はほとんどの財産を。
優しい弟は犬を相続し、犬が畑を耕したことをきっかけに弟は富を得る話です。

 
雁取り爺や狗耕田と花咲かじいさんを比べて気づいたことがありました。

雁取り爺や狗耕田とつく話の中には犬の名前について書かれているものは見つかりませんでしたが、花咲かじいさんに登場する犬には意外と名前がついているんですよね。
「しろ」だったり「シロ」だったり。
世の中には「ポチ」と呼ばれている花咲か犬もいるようです。
ポチはおそらく、明治に生まれた歌「花咲かじいさん(花咲爺)」の影響だと思われます。

昔話に出てくる人や動物に、主人公以外で固有名詞がついているというのは珍しいのではないでしょうか。

シロは見た目そのままな名前ですが、犬の体毛が白いというのは重要なポイントだと思うので強調されているのかもしれません。
白い動物は神の使いと言われていますし、犬が元々家で飼われていたバージョンの花咲かじいさんでも名前がシロだとすごい犬なんだろうと思えるので不思議です。

次回は不思議な宝物と犬の話について調べたいと思っています。
世界中に分布している昔話らしいので驚きのパターンが見つかりそうです!