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花咲かじいさんに出てくる犬は福をもたらす犬?(前編)

第1回「桃太郎」に続き、本日は「花咲かじいさん」のお話です。
日本には五大御伽噺というのものがあって、そのうちの一つが「桃太郎」。
他に「さるかに合戦」、「舌切り雀」、「カチカチ山」と続いて残す一つが「花咲かじいさん」です。
なんと!5つのうち2つの作品に犬が登場するんですね〜。
犬は昔から日本人に馴染み深い動物だということが窺い知れます。

実際、日本人がウンバボ言いながらマンモスを追いかけ回していた縄文時代から犬との関係は続いていると言われています。
その頃は狩猟のパートナーだったみたいです。

花咲かじいさんが成立したのは室町から江戸初期。
その頃の犬はもう一歩でペットってところでしょうか。

花咲かじいさんも犬を飼っていたことだし…………ん?

そういえばこの犬、最初から飼われていたわけではないような。
拾われてきたんだっけ?

あらすじを書こうと思ったんですがいきなり躓きました。

改めて考えると私の覚えている花咲かじいさんはかなりあやしい気がします。
せっかくなので答えを見る前にうろ覚え版を書き出してみましょう。
どのくらい当たっているか、答え合わせが楽しみです。

 
●うろ覚え花咲かじいさん●
子供のいなかったおじいさんとおばあさんは拾ってきた犬を可愛がっていました。
あるとき犬がここ掘れわんわんと鳴いたので、庭を掘ってみると大判小判がざっくざく。
隣の意地悪じいさんはそれを嗅ぎ付け犬を借りて行きましたが、鳴き声を上げた場所を掘ってもごみしか出てきません。
怒った意地悪じいさんは犬を殺してしまいます。

悲しんだ優しいおじいさんが犬のお墓を作って側に苗木を植えると次の日には木が大きく成長していました。
そしておじいさんの夢に犬が出てきて「この木を切り臼にして、餅をついてください。」と言うのでその通りにすると餅の中から小判が出てくるではありませんか。
おじいさんがたまげているとまたしても意地悪じいさんが現れて臼を借りて行きました。
けれど意地悪じいさんが餅をついてもごみしか出てきません。
怒った意地悪じいさんは借りた臼をかち割った挙げ句、燃やしてしまいました。

優しいおじいさんは悲しみに暮れながらも灰を集め、集めた灰を枯れ木にまきます。
すると枯れ木に花が咲いたのです。
それを見ていたお殿様があっぱれとご褒美をくれ、優しいおじいさんとおばあさんは幸せに暮らしました。
意地悪じいさんは優しいおじいさんを羨んで枯れ木に灰をまきましたが花を咲かせることができず、まいた灰がお殿様の目に入り投獄されましたとさ。

めでたしめでたし。

 
では続いて答え合わせをしたいと思います。
調べている過程で花咲かじいさんにもかなりのバージョン違いがあると知ったので今回は近所の図書館で借りてきた『日本の昔話 はなさかじい』と比べてみます。

はなさかじじい

『日本の昔話 はなさかじい』によると……

まず犬は香箱から登場します。
川へ洗濯に行った正直ばあさんが流れてくる2つの香箱を見つけて「中身の入っている方だけこっちへこい」と呼ぶと中身のある香箱が近づいてきて、中から小さな子犬が出てくるんです。

で、出だしから予想外の展開(^▽^;)

子供がいなかったから子犬を我が子のように可愛がるというくだりはありました。
そして「だんご汁がすき」と子犬が言うのでだんご汁をたくさん食べさせ、子犬が子牛くらいの大きさまで育ちます。

生まれたての子牛の体高が80cmくらいあるらしいんですよ。
さすがに育ち過ぎでは。

ここすごくつっこみたいんですが、話が進まないのでひとまずおいておきます。

 
子犬が子牛くらいまで大きくなった後はどうなるのかというと、正直じいさんが子犬と山の畑へ行きます。
そこで子犬が「ここ掘れわんわん」と鳴くので言われた通りにすると大判小判が出てきました。
隣の欲張りじいさんも犬を借りて山へ入りましたが、犬が鳴いた場所を掘ってもがらくたしか見つけられませんでした。

この辺りはわたしの記憶と大体合っていますね。
違ったのはこの後。
殺された犬を埋めたのは欲張りじいさんで、側に木を植えたのも欲張りじいさん。
ちなみにこの木が松です。

松の木に小鳥がとまっておじいさんに言いました。
「この木を切って臼を作れ」
犬が助言するわけではありませんでした。

そして作った臼で米をつくと臼から大判小判が出てきます。
しかし臼を借りていった隣人は米をついても馬糞・牛糞しかゲットできず。
臼は割られ、かまどにくべられ、灰になってしまいました。

わたしの記憶だとこのあと正直じいさんは回収した灰を枯れ木にまいてご褒美を貰い、ハッピーエンドになるわけですが……。

『日本の昔話 はなさかじい』では枯れ木にまく前段階があったのです。
おじいさんは持って帰った灰をこやしにしようと畑にまきます。
するとまわりの木に灰がかかって花が咲いたんです。

枯れ木にまけば花が咲くことを知った正直じいさんが街道でパフォーマンスをし、ご褒美を貰った。というわけですね。

わたしはおじいさんが突然灰をまき出したと信じていたので、おじいさんのことをずっと変人だと思っていました。
いやあ誤解が解けて良かったです。

『日本の昔話 はなさかじい』の面白いところはこのあと例に漏れず欲張りじいさんが正直じいさんのまねをして灰をまき、殿様にお仕置きされます。
ですが投獄されるでも殺されるでもなく自宅に帰れるんですよ。

後ろに「でっかい犬」を連れながら。

このでっかい犬については「うしろから、でっかい犬がついてきます。」以外に記述がありません。

「でっかい」がどの程度なのかは分かりませんが、考えちゃいませんか。
子牛サイズだったりして、って(笑)

ただ、ですね。
「突然枯れ木に灰をまくなんて奇行としか思えない」と考えていたとき、灰に何か(霊能があると信じられていたとか)あるのかと思って調べていたんですが、ウィキペディアの灰のページを見てみるとですね、こうあります。

灰は単に生命の終わったものではなく、新しい生命を生み出すもの、としての意味を持つことがある。
不死鳥は自らを炎の中で燃やし、その灰の中から再生するといわれる。(引用ここまで)

これを踏まえて花咲かじいさんを読むと、犬は、
犬→うす→(灰)→花と再生していったのだと思うんです。

仮に欲張りじいさんの後ろについてきていた犬が子牛サイズのだんご汁がすきだった犬だった場合どこで犬に戻ったんでしょうか。
飛び散った灰は全部花になったわけではなく、風に流された分が犬になった、とか?

 
長くなってしまったので、この犬は結局何なのか?
という疑問と類話については後編でまとめたいと思います!

昔話に登場する犬、童話犬の話

犬像シリーズが終了してからそろそろ4ヶ月。
もうそんなに経ったんですね。早いですね〜。

わたしの2014年は本当にあっという間でした。

 
今日から犬像シリーズに続く新シリーズスタートです。
その名も「童話犬シリーズ」。
わたしが国内外の犬が登場する童話(昔話)について調べていきたいと思います。

第1回は犬の出てくる昔話の定番『桃太郎』です!

日本人なら誰もが知っているであろう桃太郎ですが、全国各地に様々なバリエーションのものが存在します。
テレビに取り上げられたためか桃太郎が桃から生まれない回春型(桃を食べたおじいさんとおばあさんの子供として生まれたという話)は桃から生まれる桃太郎につづいて有名かと思います。

一番オーソドックスな展開だと、川で洗濯をしているおばあさんの元へ桃が流れてくる。→家に帰ってその桃を割ってみたら男の子が生まれる。→男の子は桃太郎と名付けられ、鬼退治をしたいと言い出す。

前半はこんな感じですよね。

この時点ですでに、桃はどこから流れてきたの?とか、どうして桃太郎はまっ二つにならなかったの?とか疑問はあるのですがファンタジーには野暮なつっこみという気がしないでもありません。

ただどう考えても桃太郎が人間だとは思えないのでその辺りにタネがありそうです。

流れてきた桃は仙境に生えている桃の木から落ちてきたもので、桃太郎は人間ではないからまっ二つにならなかった(もしくはまっ二つになったけど目にも留まらぬ早さでくっついた)。
とかちょっと良い線いっているのではないでしょうか。

後半は桃太郎がおじいさんとおばあさんに見送られて鬼ヶ島へ旅立つところからスタート。
おじいさん・おばあさんも桃太郎が人間ではないと薄々気づいていたのか「がんばってね」と実にあっさり送り出してしまいます。

装備はそこそこ、お弁当にきびだんごです。
このきびだんごは後に犬雉猿を家来にするため大活躍ですが……果たして犬雉猿はだんごなんて食べても大丈夫なんでしょうか。

うーん。
そもそもきびだんごの材料が分からない。

そんな時はやっぱりグーグル検索ですよね。

goo

きびだんごの作り方を調べてみたところそれらしいレシピを発見です!
それがこちら

だんごといっても材料はきびと砂糖だけというとても潔いレシピです。
動物たちがこれを食べてのどを詰まらせる心配はなさそうですが、おいしいのかはものすごく疑問です。

…いや、まてよ。
犬や雉や猿は余計なものが入っていない方がおいしく感じるのかも?
それに加えておばあさんはきびだんご作りの名人だったりすれば、きびだんご1つで鬼と戦いに行ってしまうのでは。

そこでわたしもきびだんごマイスターになったつもりできびだんごを作ってみることにしました。
作り方はより簡単そうなこちらを参考にしています。

mochikibihukuro

これをレシピに従い水350mlを加えて炊きます。

mochikibimizu

水がなくなるころにはだいぶ粘り気が出てきました。

mochikibitakiagari

もしかするとこれ、雉とか食べたらダメなやつじゃない?
と思ってしまうほど粘り気があります。
クックパッドのレシピだとこの後すぐ丸めているんですが、もうちょっとつぶつぶしていない方が良いなぁと余計な手間をかけるわたし。
木の棒でもちきびを潰します。

satou

桃太郎のきびだんごには入っていないだろうと思いつつ砂糖を15gだけ加えました。
無添加の状態で味見をしたのですが味が素朴すぎたので。

しかしいざ丸めようと思ったらもちきびが予想以上にゆるく少し寝かせることになりました。

rappu

ラップをして冷蔵庫へ。

翌日冷蔵庫から出てきたときにはすっかり丸めやすそうな固さになっていました。
さっそく丸めて皿に盛りつけます。

kibidango

うわっ、全然美味しそうじゃない……。
写真で見ると敷物も汚く見えるしで反省しました。

実際に食べてみても不味くはないのですが、だんごを食べているはずなのにおかゆを食べてる気分になります。

kinako

そこできなこをかけました。
この状態で食べてみると……!

相変わらずおかゆです(^▽^)
箸でつまめるおかゆ。

kibiyaki

焼いたらどうにかならないかな?と思いフライパンで焼いてみたりトースターで焼いたりもしてみましたが……
結果どうにもなりませんでした(^▽^)

 
作ってみて分かったこと。
冷やしても温めてもけっこう柔らかいので「お腰につけたきびだんご♪」は再現できない。
材料はシンプルな方がおばあさんのきびだんごに近いだろうと思って採用したんですが、他にも何か入れているんじゃないでしょうか。
たとえば餅米とかでんぷんを足していそうな気がします。

あと意外だったんですが丸めるときはべたべたでのどに詰まりそうだと思っていたきびだんごも、実際食べてみるとさらーっとしてるんですね。
これならお供の動物たちが食べても大丈夫かもしれません。

 
さて、わたしのきびだんご作りが終わったところでこの動物たちについて少し掘り下げてみたいと思います。

お供となった犬、猿、雉。
どうしてこの3種でなければいけなかったのでしょうか。
わたしが桃太郎の立場だったらもっと強そうな……たとえば熊とかをお供にしたいと考えます。

調べてみたところこの3種類の動物が選ばれたのにはいくつか説があるようです。

・桃太郎が成立した18世紀頃の日本に存在した動物は犬、猿、雉くらいだったから説。
・鬼は鬼門からくるという考えから裏鬼門にあたる申酉戌が仲間になった説。
・犬猿雉は儒教思想、仁智勇を象徴している説。
・「桃太郎」のモデルとなった物語の登場人物の名前から取った説。

この中だと最後の登場人物の名前から取った説が一番しっくりくるような気がします。
裏鬼門説と儒教思想説はちょっと後付けっぽいし、18世紀頃なら熊とか狸とか他にも動物はいますよね。

ここでいう「桃太郎」のモデルというのは「温羅(うら)伝説」のことです。
温羅伝説で主人公桃太郎に当たるのが吉備津彦命(きびつひこのみこと)。
この吉備津彦の家来に犬飼健(いぬかいたける)という人がいて、彼が岡山県吉備津神社の随神門に祀られています。
猿は楽々森彦(ささもりひこ)。雉は鳥飼部(とりかいべ)であった留玉姫(とめたまひめ)がモデルだそう。

調べれば調べるほど歴史ロマンが溢れてくる岡山県。
一度行ってみたくなりました(^▽^)